「親の将来に備えて住まいを考え始めたけれど、種類が多くて違いがわからない」というお声をよく耳にします。

高齢者向けの住宅・施設は運営主体、対象者、受けられるサービス、費用によって大きく分かれます。

今回のブログでは、代表的な種類と特長を整理してご紹介します。

高齢者向け住宅・施設は大きく2つに分かれる

高齢者向けの住まいは運営主体によって「公的施設」と「民間施設」に大別できます。

◆公的施設
国や自治体、社会福祉法人などが運営するもので、費用が比較的抑えられています。
一方で入居条件が厳しく、人気が高いため待機が発生しやすい傾向があります。

◆民間施設
企業などが運営するもので、サービス内容や費用の幅が広く、入居しやすいのが特長です。
そのぶん施設ごとの差が大きいため、比較検討が欠かせません。

公的施設の種類と特長

◆特別養護老人ホーム(特養)
常に介護が必要な方が生活全般の介護を受けながら暮らす施設です。
入居の対象は原則として要介護3以上で、やむを得ない事情がある場合は要介護1・2でも入居が認められることがあります。

月額費用が民間施設より低く、入居一時金も原則不要なため、経済的な負担を抑えやすい点が魅力です。看取りに対応する施設も多く、終の棲家として選ばれています。
ただし申込者が多く、地域によっては入居まで長く待つことがあります。

◆介護老人保健施設(老健)
病院での治療を終えた方が自宅へ戻ることを目指してリハビリを行う施設です。医師や理学療法士、作業療法士などが配置され、医療ケアとリハビリに力を入れています。

対象は要介護1以上の方です。
在宅復帰が目的のため、入所期間は原則として一定期間(3か月ごとに入所継続の判定があります)とされ、長期の入居には向きません。

◆介護医療院
長期にわたる療養が必要で、医療ケアと介護の両方を必要とする方のための施設です。たんの吸引や経管栄養など、医療的なケアが日常的に必要な方でも受け入れやすく、看取りやターミナルケアにも対応しています。
対象は要介護1以上の方です。

◆養護老人ホーム
環境上の理由や経済的な理由により、自宅での生活が難しい方を対象とした施設です。入所は本人の希望ではなく、市町村の判断(措置)によって決まる点が大きな特徴です。
介護が必要になった場合は外部の介護サービスを利用します。

◆軽費老人ホーム(ケアハウス)
家庭環境や住宅事情などの理由で自宅での生活が難しい比較的自立した方が、低額な料金で入居できる施設です。
食事の提供や生活相談などのサービスがあり、介護が必要になった場合は外部サービスを利用する「一般型」と、施設の職員による介護を受けられる「介護型」があります。

民間施設の種類と特長

◆介護付き有料老人ホーム
施設の職員から、食事・入浴・排せつなどの介護を24時間体制で受けられる施設です。都道府県などから「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、介護サービスが施設のサービスとして一体的に提供されます。

介護度が上がっても住み続けやすく、手厚い見守りを受けられる安心感があります。
しかし入居一時金や月額費用は高めになる傾向があります。

◆住宅型有料老人ホーム
食事の提供や生活支援などのサービスがついた居住施設で、介護が必要になった場合は外部の訪問介護などを自分で選んで契約します。

介護サービスを必要な分だけ選べるため、自由度が高く、費用も調整しやすい点が特長です。
ただし介護度が上がってサービス量が増えると費用がかさんだり、重度化した際に住み続けられなかったりする場合もあるため、事前の確認が大切です。

◆健康型有料老人ホーム
自立して生活できる方が、食事などのサービスを受けながら、趣味や交流を楽しんで暮らす施設です。介護が必要になった場合は、原則として退去することになります。
数が少なく、選択肢は限られます。

◆サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリー構造を備えた賃貸住宅で、安否確認と生活相談のサービスが必ず提供されます。原則として60歳以上の方などが対象で、賃貸借契約を結んで入居します。

入居一時金が不要な物件が多く、施設に比べて自由度が高い暮らしができる点が魅力です。食事や掃除などの生活支援を追加できる物件もあり、介護が必要になった場合は外部の介護サービスを利用します。
夫婦での入居ができる物件が多いのも特長です。

◆グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
認知症と診断された方が、少人数(1ユニット5〜9人)で共同生活を送る施設です。スタッフの支援を受けながら、料理や掃除などを分担して行うことで、認知症の進行をゆるやかにすることが期待されます。
対象は要支援2以上で、原則として施設のある市町村に住民票がある方に限られます。

種類ごとの違いを整理します

・手厚い介護を長く受けたい→特養、介護付き有料老人ホーム、介護医療院

・リハビリを経て自宅に戻りたい→老健

・自立した生活を楽しみたい→サ高住、健康型有料老人ホーム、ケアハウス

・介護サービスを自分で選びたい→住宅型有料老人ホーム、サ高住

・認知症ケアを重視したい→グループホーム

・費用を抑えたい→特養、養護老人ホーム、ケアハウス

選ぶときに確認したい5つのポイント

①本人の状態と希望
現在の介護度や健康状態だけでなく、これからの変化も想定しましょう。何より、ご本人がどんな暮らしを望んでいるかが出発点です。

②費用の総額
入居一時金、月額費用、介護保険の自己負担分、医療費、日用品費などを合計して無理なく払い続けられるかを確認します。

③医療・介護体制
夜間の看護師や介護職員の配置、協力医療機関、看取りへの対応の有無をチェックしましょう。

④住み続けられる条件
介護度が上がったり、認知症が進んだりした場合でも住み続けられるかは施設によって異なります。退去条件は契約前に必ず確認してください。

⑤立地と家族の通いやすさ
面会に行きやすい場所にあると、ご本人の安心感にもつながります。

必ず見学・体験入居をしましょう

パンフレットや条件だけでは施設の雰囲気やスタッフの対応、食事の味、入居者の表情まではわかりません。
複数の施設を実際に見学し、可能であれば体験入居をして比較することをオススメします。

まとめ

高齢者向けの住まいには公的施設から民間施設まで多くの種類があり、それぞれ対象者、サービス、費用が異なります。
大切なのは「どの施設が良いか」ではなく、「ご本人に合っているのはどれか?」という視点です。

迷ったときは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すると、状況に合わせた助言を受けられます。
元気なうちから情報を集め、ご家族で話し合っておくことが納得のいく住まい選びにつながります。


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